「心優がこれやるって。」


差し出されたのは、やっぱりクッキーだ。

去年のあの日を思い出し、ドキッとしてしまう。



「あ、ねぇ、今から温人と智沙、連れて来るから、後で、みんなで噴水の公園のイルミネーション見に行かない?」

「うん。いいね。行こう、行こう。」

「じゃ、また、後で来るわ。」



こんなことって、あるんだな。

一遍にいろんなことを思い出して、パニック状態になりそうだ。

誘っても、心優は大丈夫かな。

思い出して、辛くなったりしないかな。

ただでさえ、航佑とは微妙な感じになってるみたいだし..........



でも、もうそろそろ本当に、こいつらとはお別れだ。

何年先に戻って来れるか、今度は見当もつかないし。

今はできるだけ、みんなとの楽しい思い出を作っておこう。

これから先、それはきっと俺の支えになってくれるだろうから。