その頃は、日本を離れることにも、航佑と上手くいっていない心優を置いていくことにも抵抗があって、オファーを受けるべきかどうか、迷っていた。

でも航佑と会って、二人が愛し合っていることを確認できたから、俺は完全に身を引くことを決めた。



その後も返事はしばらく保留にしていたけど、だんだん心優を諦められない自分に気付き、募る思いに耐えられなくなってきた。

二人を邪魔したくないし、どこか危なかしい心優を見ていると、好きな気持ちを抑えるのにも限界が来ている。

だったら、思い切って海外赴任するのも悪くないんじゃないか?

そう思い始めた。



なかなか巡って来るチャンスじゃないし、ズルいかもしれないけど、これで届かないとわかっている苦しい思いから逃れられる。

半ばすがるような気持ちで、オファーを受ける決心をした。