呼吸の音しか聞こえないほどの、静けさが苦しい。

ピーンと張り詰めた空気は、まるで今の二人の心みたいだ。

僅かでも間違ったことを言えば、音を立てて崩れてしまいそうなほど、それは薄くて脆い。



少しの沈黙の後、緊張感の漂う中、航佑が重い口を開いた。



「..........わかった。」

「ありがとう。」

「待ってるから.......。」

「..........ごめんね。」



手のひらで航佑の頬を挟んで、しっかりと目を合わせてから、キスをした。

まるで「愛してるのはこの人でしょ?」って、自分に言い聞かせるみたいなキス。

航佑の目から不安でたまらない気持ちが伝わって、胸が張り裂けそうになる。



本当は私も、離れることが怖かった。

でも、こうしないと、ここからは前に進めない気がした。



だから、ワガママを言ってみた。

もう一度、航佑への愛情を確認するために。

私の欲しい『幸せ』を確かめるために..........