「でもさ、何が一番幸せかは、その人次第だよ。そうじゃない方がベストの場合もあるし。」

「それはそうだけど。」

「例えば、あんたみたいな特殊パターン。」

「え?」

「一緒にいて誰よりも安心できる人がわかってるのに、わざわざ他の人に行くなんて贅沢な話じゃない? 普通はそういう人、探すだけで苦労するよ。」

「.......うん。」

「って言うか、見つからないまま、この人じゃなかったって思いながら一生終わっちゃう人だって、いっぱいいると思う。」

「そうだね。」

「私は章太郎ができちゃったから、その時点で選択肢がなくなっちゃったけど......知ってる? 幸せって選べるんだよ。」

「え? どういうこと?」

「ほしいと思う『幸せ』、考えてみなよ。」

「どうなりたいかって、こと?」

「そう。」