智沙ちゃんが涙ぐんでいる。

友哉の気持ちが、ちゃんと伝わってる。

今まで苦労してきた分も、二人には幸せになってほしい。



「私ね、温人の父親に裏切られたし、うちのお父さんにも拒否されちゃったから、温人を産んだばっかりの頃、人が信じられなくて、いろんなことが怖くてたまらなかったの。だから、せめてこの子には、人を思いやれる温かい人になってもらいたくて、祈るような気持ちで『温人』ってつけたの。」

「そうなんだ。すごくイイ名前だよね。」

「今まで頑張ってきたから、神様がご褒美くれたのかな。友哉くんみたいな、すご~く温かい人に見つけてもらえた。」

「うん。私が言うのも何だけど、友哉はすごく優しい子だよ。天然だし、普段はポヤ~っとしてるけど、やる時はやる男らしさもあるし。まだ子供っぽい所もあるけど、智沙ちゃんがしっかりしてるから、きっと素敵な夫婦になれるよ。」

「うん。ありがとう。」