緊張でガチガチだった俺に、真由子は機転を利かせ、優しくしてくれた。

しどろもどろになる前に俺の言いたいことを察し、先回りして対応してくれたから、その後の担当者との商談も、落ち着いてスムーズにできた。

キレイなだけじゃなく、気が利く素敵な女性だなと思った。



次に行った時、気が緩んでいたのか、俺はくだらないミスをした。

担当者が待ち合わせの時間になっても身体が空かなくて、ロビーで待たされている間に、他の取り引き先から電話があった。

電話を切った後、内容をメモしている間に担当者が現れ、挨拶をしているうちに、携帯を置きっぱなしにしてしまったのだ。



商談が済み、着信を確認しようとしたら、携帯がない。

焦って、鞄の中やら、ポケットやら、あちこち探しまくりながら、エレベーターに乗っていたら、扉が開いた瞬間、彼女が小さく手を降りながら立っていた。