家まで着くまでの間、稜も黙ったままでいた。

悲しそうな顔で考えこんでいるのを見ると、足取りが重くて、やっぱり何も言えなくて........

すぐそこにある家が、ものすごく遠く感じた。



家の前まで着くと稜が門を開けてくれて、「元気出せ」って言ってるみたいに、背中をポンと軽く叩いた。



「ほら、頑張れ。」

「うん........。」

「俺さ、こっちに一週間いるから。」

「そうなの?」

「本当は、夏休みは明々後日からなんだけど、明日、明後日、本社に出張する用事ができて.......って言うか、所長がそうしてくれたんだけど。」

「ふ〜ん。」

「てか、ちょっとは驚けよ。」

「え?」

「突然帰って、ビックリさせようと思ってたのに。」