「叩かれたのか? 大丈夫?」

「.......うん。」



稜が近付いて来て、心配そうな顔で覗きこむ。

目が合って、思わず視線を反らす。



何か、ごめんね.........

こんな所、見せちゃって。

心の中で稜に謝る。



稜はさっきの醜いやり取りを、どの辺りから見てたのかな。

せっかく帰って来たのに、いきなりこんな場面に遭遇して、きっと動揺しているに違いない。



久しぶりに会えて、本当はすごく嬉しいのに、もう何から話せばいいかわからない。

叩かれた頬を手のひらで隠し、俯くしかできない私って、何なんだろう。

悔しくて、また涙が浮かんでくる。