赤信号で車が停まるとすぐに、航佑の左手が私の右手を握って、恋人つなぎにした。

心配そうな目が、泣くのを堪えている私の顔を覗きこむ。



「どうした?」

「..........。」

「泣くようなツライこと?」

「ごめん........。必ず話すから。後で、絶対話すから。」

「今は、言えないの?」

「........うん。」

「..........。」

「ごめんね。少しだけ待って。」

「...........わかった。」



航佑は悲しそうな表情を見せたけど、私を安心させるかのように柔らかい笑顔になって、繋いだ手をギュッと強く握ってから車を発進させた。

その瞬間、涙がこぼれた。