*「だとしても、俺の気持ちは変わらない」
悪いことをした訳じゃないのに、航佑に会うと思うだけでドキドキする。
今日は短い時間しか会えないから、妙な態度をして余計な心配をさせたくない。
緊張しながら助手席に乗り込むと、航佑がいつも通りの笑顔を見せてくれることに、とてもホッとする。
何も知らないんだから、当たり前なのに。
「お待たせ。遅くなっちゃったから、お腹空いただろ?」
「うん。何、食べに行こうか。」
「だいぶ待たせちゃったから、心優が食べたいもの、何でも御馳走するよ。」
「ほんと? じゃ、何にしようかな。」
本当は胸がいっぱいでそういう気分でもなかったけど、とりあえずお気に入りのパスタのお店の名前を告げ、車を走らせた。