その日、友哉は私が出かける時間になっても帰ってこなかった。

稜の部屋の電気がずっと点いていたから、さっきのことはもう友哉の耳に入ったに違いない。

友哉は稜を本当の兄のように慕っているから、話を聞いて何か思うことがあるのだろう。



メイクをし直して、航佑に会う準備をしているうちに、だんだん気持ちが落ち着いてくる。

何も迷うことなんてない。

私の愛してる人は一人だけなんだから。

早く航佑に会いたい。

会って航佑の笑顔を見れば、きっと迷いはなくなる。



携帯に到着時間を知らせるメールが届く。

大丈夫、頑張ろう。

恐れることはない。

普段通りの私で、いつものように航佑に会おう。

一番愛してる人に、抱きしめてもらおう..........