___ピンポーン。



沈黙を破るように、チャイムが鳴った。

振り返ると、インターホンのモニターに、間抜けな顔をした弟が写っているのが見える。



「友哉、今頃、来たんだ。」



稜が腕をほどき、私と目を合わせてから、ゆっくりと立ち上がって玄関に向かう。



友哉のやつ、まったく、タイミングいいんだか、悪いんだか。

張り詰めた空気を断ち切ってくれたのは助かったけど、こんな顔を見られたら、何を言われるかわからない。

ソワソワしながら玄関に背中を向けたままでいると、すぐに稜と一緒に友哉が入って来て、私がいることに気付いた。