その日は新しく出来たスペイン風バルで、サングリアを飲みながら軽く食事を採って、お酒とおつまみを買ってから、航佑の部屋に向かった。



「カギ持ってる?」

「うん。」

「じゃ、ちょっと貸して。」



部屋の前に着くと、航佑はそう言って、ポケットから何やら取り出した。

出てきたのはキーホルダー。

ピンク色の皮製のタグにイニシャルが入っていて、可愛い上にオシャレな感じが、航佑らしいなって感心する。

渡したカギにそれを付けて私に持たせると、自分のカギを見せながら、航佑は微笑んだ。



「お揃いにしちゃった。」



航佑の分は黒っぽい皮で、同じデザイン。

この日を航佑がどれだけ待ち侘びていたか、得意げな笑顔が物語っているような気がする。