稜からも、私からも、もうそれ以上は言葉が出てこなくて、只々、胸が痛くて、苦しくて.........

そこから動くことが出来なかった。



だんだん緊張感に耐えられなくなり、力尽きて、自然と稜の胸にもたれかかるような体勢になっていく。

稜の腕の中で感じるのは、やっぱり何とも言えない安心感。

私たちはお互いに、ただ好きなだけじゃない特別な存在なんだと、改めて思い知った気がする。



このまま、この感情に飲み込まれるのが怖い。

流されてはいけない。

なのに、必死に航佑のことを考えようとすればするほど、小さな頃の稜との思い出が、次から次へと頭の中に浮かんできてしまう。