「歩けるか?」



黙って頷くと、稜は私の両手を取って立たせ、手を繋いで歩き始めた。

そのまま噴水の広場の方へ行き、ゆっくりとイルミネーションの中を歩いて、不意に立ち止まった。



稜が見上げた正面には、見覚えのある二つ並んだベルの形のライトがある。

これって.........



「憶えてる?」

「うん.......。」



忘れるはずがない。

20年前の、大切な大切な約束を。

私たちは五才の時、この時期、この場所で、初めてキスをして、大人になったら結婚しようと固く約束をした。

幼い日に交わした約束は、もう効力を失ってしまったけど、どれほど嬉しかったかまで、今でもハッキリ憶えている。



稜は、とっくに忘れてるのかと思ってた........