*「できることなら、奪いたい」
ラッピング用のリボンを取りに部屋に戻ると、窓を叩く音がした。
カーテンを開けると、いつものように稜が斜め向いの窓から顔を出している。
隣の家に住む稜とは幼なじみ。
誕生日も一ヶ月しか違わないから、生まれた時から、ずっと一緒。
特に決めた訳じゃないけど、こうして気配がする時に、ほぼ向かい合わせにあるお互いの部屋の窓を叩く事は、いつの頃からか呼び出しの合図になっていた。
「なぁに?」
「友哉、いる?」
「いない。さっき出かけたよ。」
「何だよ。あいつ、後でCD借りに来るって言ってたから待ってたのに。来ねぇなら、俺も出かけようかな。」