謂われの無い誹謗中傷に対しては、結構笑顔で報復的な何かをすると思う。


その横で玉若がぼそりと


「やはり馬鹿はどこまでいっても馬鹿か」


なんて言うから、透理は笑いを堪える余り、腹筋が引きつった。


「た…玉ちゃん!私、もう無理!なんとか私の笑い声が聞こえないようにして!」

「ほう?透理。どうやら馬鹿に関して妾とそなたの意見は一致したようじゃの」


にんまり笑った玉若は、右腕をさっとひと振りした。


その瞬間、透理は自分の身体が宙に浮いたような感覚に陥った。
いや、実際に宙に浮いたことなんてないので、あくまでも、こんな感じなのかな?程度の認識だが。


「几帳からこちらを別空間に転移させた。まあ、結界のようなものじゃな。ここならば様子を見つつ、存分に笑えるぞ」


……脱力した。


そんなことができるなら、最初からそうしてよー!


腹筋が引きつったときの、あの悶絶寸前の痛みを返してもらえませんか?


玉若の怖さを十分に承知している透理が、あくまでも穏便かつ下手に抗議すれば、玉若はカラカラと笑った。


「頼まれなかったからの」


誰に?…って、もちろん清明だ。


なんのかんの言って、清明に言われない限り動かない玉ちゃんって、無自覚で清明に使役されてるんだろうなぁ…と、透理は口にしたらその場で八つ裂きにされそうなことを思った。


もちろん、玉若にである。