好きだよ。

この気持ちが。

届いても、きっと。

拒まれてしまうんでしょ。

ならば、届かせようとも想わない。



好きだよ。

ずっと前から、君だけを見てきた。

でも、そんなこと言えるわけがない。

だって、君は。

彼を見続けているから。

だから、伝えようとも想わない。





1、


いつも通り、聞きなれたチャイムが授業の終わりを告げる。
日直の号令でみんなが立ち上がり、バラバラと頭を下げた。先生が教室を出ていくと私も重い腰をあげた。
「美湖ー。やっとお昼だよぉ。」
私は親友の美湖に抱きついた。
美湖のフワッとしたやわらかい髪が私の頬をくすぐる。
「はいはい、いっつもそのセリフ言ってるでしょ。愁香、食い気に走りすぎ。」