楽屋では…メイクも落とす気にもなれず…椅子にもたれ掛かっていると…


誰かがドアをノックする…。




…なんだよ…誰だよ…



俺は舌打ちをしつつ、ドアを開けた。



そこには、翼さんと…見知らぬ女性…。


『君の知り合いだって言ったら、ここを案内されたんだ。これ…お祝い…。』

そう言って翼さんは大きな花束を俺に渡す。




『…あ…ありがとうございます。どうぞ!』


俺は、大きな花束を抱え、楽屋に入るように勧めた。


『じゃあ…』

翼さんは遠慮がちに入ろうとすると、その翼さんの連れの女性は、

『あの…ちょっと…』

そう言って楽屋には入らなかった。


『すぐ戻るから、外で待ってて!』

翼さんの言葉に、その女性は頷き…立ち去っていった。



『演劇って…高校の演劇部のものしか見たことなくて…。こんなに楽しいものだって分かってたら何度も観に来ていたのに…。』


翼さんは少し興奮気味に語りだした。