『いえ…。これは招待ですから、いりません。だから、必ず見に来て下さいね!』
…俺は役者だな…。
こんなに心の中は焦っているのに…
顔は、なんでもないような笑顔…。
今日ばかりは、一斉一代の名演技だ。
『必ず、行きますね!ありがとうございます。』
なんの疑いもなく翼さんは笑顔で受け取ってくれた。
…これで…理夜に会える…。
翼さんには罪悪感があるけど…
俺は…理夜に会いたかった。
理夜に…俺のことを見てほしかったんだ。
翼さんの隣にいる理夜だとしても…
俺は…
理夜に会いたいんだ…。
久しぶりに会った翼さんと、暫く世間話をしたあと、翼さんの携帯が鳴り…メールを確認すると、翼さんはそそくさと先に帰っていった。
きっと…理夜からなんだろう…
胸が締め付けられるほど苦しくなりながらも、翼さんには笑顔で手を振った。