出てきた男の人は…

理夜がよく話していた翼さんを、俺が勝手に想像していた翼さんとほぼ同じだった…。


違う…

俺が勝手に想像していただけ…

この人は…翼さんじゃない…。



ずっと頭の中で唱えていたけど…作り笑顔がひきつっていた…。


そんな俺に気付かないこの高岡さんは、調度新聞を変えようと思って他の新聞をやめたところだったらしく…
快く、契約してくれた。


…早く終わらせよう…

心臓に悪い…




だけど、契約書にサインをしてもらった名前を見て…




俺の中で確信に変わった。







“高岡 翼”





そう、サインしてあった。



俺は、後ろからハンマーで殴られたような衝撃を覚え…


頭の中が真っ白になった…。



だけど、俺の心臓はすごい早さで波打ち…


焦り…戸惑っている…。



…翼さんは俺のことを知らないはずだ…。


そう言い聞かせ、いつもなら少し世間話をしてから帰るのだが…


さっさとお礼だけを言って、ドアを閉めた。