「ずっとERで笑いあっていて欲しいけど、そうもいかない。黒崎先生は最終的にはここのトップにならないといけないし、その時あなたはそばで支えなきゃいけない」

何より子供ができたら仕事より子供との時間を望むだろうと予想できたから

だからいつか今の医局にも変わらなければならない時が来る

信次に呼ばれて再びメスを握る決意をしたあの時のように

「二人にはずっと一緒に笑いあっていて欲しい。それが私の願いよ」

もう自分は果たすことができないから

だからその夢を、未来をこの二人に託してもいいかもしれない

「…、本当は少し怖いんです」

沈黙ののち、しるふが口を開く

神宮寺が見下ろしてくる気配がするが、しるふの視線が楽しそうな園田たちに向けられたままだ

「私もこの生活が大好きだから。私と海斗の4年間は、この医局から始まってて、喧嘩したって顔を視たくなくたって、ここに来れば声を交わさなきゃいけない、顔を視なくちゃいけない」

それが嫌になったこともある

でも、

「そんな生活だからこそ、視えないことも、わかりにくいことも知ることができたんだって思うんです」

ずっと一緒にいるからこそ、気が付いた大切なこと