番組スタッフルームは
Nテレの中にある。


そこにはたくさんの番組の
部屋がのきを連ねている。

その部屋でいろんな番組がつくられていた。


それぞれの番組が

それぞれのスタッフ、

つまりADや

APで構成され、

まるで部室のような

雰囲気を醸しだしているのだった。




普段であっても
その部屋の出入りは
とても激しい。

あわただしくADたちが
出入りする。

そして、ときには
ディレクター、プロデューサー
までもが
その部屋をおとずれ
大事なことを
ADに伝えにくる。


ましてや収録前日という
ことになれば
スタッフルームは
まさに戦場。

すべてがひっくりかえっている!


スタッフ全員がテンパり状態。
ほぼ全員の人格が
いつもとまったく
違っている!


もともと


ADの仕事はさまざまで、

雑用が主な仕事だが、

チーフADにまで
のぼりつめると

下のADをほぼ奴隷のように
使えるといった具合だ。


このようにADの社会はディレクターに
なるまで
完璧な縦社会を構成している。


その中でディレクターに
なれるのはごくわずか。


まだまだ下っ端のADはどこまで
耐えられるかが勝負になってくる・・・。

テレビ業界のほぼあたり前に
なっているのが、

「多くのADは入って
ほぼ1ヶ月でやめてしまう。」

ということだ。

長くて3ヶ月・・・。


実際、やめていく者を何人も
みてきた・・・。



ディレクターになるまで
それは
果てしない道のりを意味する!



「ADは使われて終わる・・・


使われて・・・


本当にそれで終わりなのか・・・?


本当に・・・??」




ケータイをじっと
みつめたまま、オレは
固まっていた。


しばらくして
着信は止まった。



時間はテッペン
(業界用語で0時を意味する)
を過ぎようとしていた。






本番までもう24時間を切ったのだった・・・。