その日、真夜中のコンビ二はすいていた。

人は1,2人しかいない。

ミキオはまだ怒りが
おさまらずにいた。

手がまだ震えている。

走ってきたせいか
息も少しきれていた。


ミキオは
戻るか戻るまいか迷っていた・・・。

頭の中を思考がぐるぐると
まわり、出てきた答えは
やはり・・・


「もう絶対戻らない。」

だった・・・。


しかし・・・
次の瞬間
冷静な自分がいる。

「明日がもう本番だ!」


いま、逃げ出せば
いままでやってきたことが
水の泡だ。
そう思った。


上の人間に怒鳴られながら
東急ハンズを3往復したこと、

張り裂けそうな寒さの中で
ロケをしたことこと、

局の廊下で
凍えそうになりながら
1枚の毛布で寝ていたこと・・・



これらすべてが
水の泡だ!


ほかの人間からすれば
そんな大変なら
やめた方がましだと
思うだろう。


たしかにそうだ。

しかし・・・


自分にはどうしても
居続けたなければいけなかったのだ!


耐えてきた日々・・・

そんな日々も今日で終わりか?




ふと我にかえると
コンビニの本棚の雑誌を手にとっていた。

いまだ興奮している。


雑誌の内容などまったく頭に入ってなかった。



怒りは自分の中でようやく
冷静にむかっていた。

しかしいまだ
収まらない!

そんな中
ふと雑誌を本棚に戻そうとすると



その瞬間、

携帯が鳴った。



心臓が、瞬時に高鳴る!





自分の中では決心が

ついていない状態だ。



「オレ、もうADやめます・・・。」

プロデューサーからだったら
そういうつもりだった。


しかし、
携帯をみると、

AP(アシスタントプロデューサー)の

ハラグチさんからだった。


ミキオは携帯をしばらく
強く握りしめ、呆然としていた・・・。



       (つづく)