キャンキャンまくし立てるりせなど眼中にないように、来栖はワイングラスの赤い液体を一気に飲み干す。

僅かに余韻に浸った後。

「最後の晩餐…」

来栖は呟く。

「そんな絵画が人間の世界にはあったよなあ…祓魔師よ」

「…ああ」

来栖に問いかけられ、頷くヘヴン。

『最後の晩餐』は、レオナルド・ダ・ヴィンチが彼のパトロンであったルドヴィーコ・スフォルツァ公の要望で描いた絵画である。

これはキリスト教の聖書に登場するイエス・キリストの最後の日に描かれている最後の晩餐の情景を描いている。

ヨハネによる福音書13章21節より、十二弟子の中の一人が私を裏切る、とキリストが予言した時の情景である。