「はる兄!?」

陽菜と貴大は口を揃えて訊ねるけれど、優那は二人を見つめている。

「妹さんですか?竹本さん」
「はい、そうですよ。自己紹介出来るか?」
「うん!」
「竹本陽南です。8歳です。えーと、宜しくお願いします」
「うん。よく出来ましたね、陽南」
「本当!?ハル兄」
「はい」

笑顔の陽輝。怒りはもう持っていないようにも見受けられる。
それからはずっと、陽南と話していた。
特に陽菜は名前が同じの上、小学校教員を目指している為、仲良く話していた。

「また、明日です。陽南」
「ばいばい。お兄ちゃん、お姉ちゃん、またねー」

笑顔で手を振る陽南。どこが悪いのだろうか、わからない。

「陽南ちゃんはどこが悪いんですか?」
「陽南は病気で入院して訳ではないんです」
「そうなんですか?」
「此処の病院にはアレルギー科があるんですよ。ご存知ですか?」

少し前にテレビの特集をしているのを優那は思い出した。

「アレルギーですか?」
「はい。陽南は卵と牛乳のアレルギーです。今は大分無くなってきました」

嬉しそうに話す陽輝。妹の陽南をとても大切に思っているのが分かる。

「それでは、また学校で」
「はい」

駅前で陽輝と別れる。卒業間近に陽輝の新たな情報を得て、優那は嬉しそうに帰路につく。