「あそこに竹本さんの隠し子が」
「行くよ。優那」
「……」
「優那。どうしたの?」
「何でもない」

興味津々の陽菜と真実を知りたくないと願っている優那。相反する二人と貴大は陽輝が入って行った病室の前に。
そこに書かれていた名前は竹本陽南(ヒナ)だった。

「同じ名前?」

その場で立ちすくんでいると、中から声がかかる。

「これで、隠れているつもりだったんですか?滝島優那さん、志摩貴大さん、高浜(タカハマ)陽菜さん」
フルネームで陽輝は三人を呼ぶ。怒っている時の特徴だ。

「えーと。いつから気づいてたんですか?」
「大分前からです。正確には病院に入る時に確証しました。あのバスの先にはショッピングモールがありますから、其方に行くのではと思ってましたから」

つまり、最初から後をついてきていることには陽輝は気づいていたということだ。それなのに今の今まで声をかけずにいたのだ。

三人は素直に謝ろうと口を開いた直後、そこにいた可愛らしい女の子─陽南ちゃんが先に訊ねた。

「ハル兄、この人達、誰?」と──