やっぱり、こいつを死なせたくない。絵恋さんの悲しむ顔を見るのも嫌だ。所帯なんて持たなくてもいい。一生お前を見守ってやるよ。


「さぁ! 湯船行こうぜ。俺、あの絹の湯に入ってみたかったんだ!」


秋雄が指す真っ白な湯船に、俺たちは歩を進め、ゆったりと体を沈めた。体を囲う、柔らかなお湯や蒸気がリラックスへと導いた。


用心のために辺りを見渡す。鋭い視線などは感じなかった。


「秋雄。お前の周りで、本当に変わった事はなかったか?」


「うーん? 別になにも……ああ、そういえばさスマートフォンに変えた途端に、ウイルスが入り込んだらしくて、従来の機種に結局戻したことはあったけど?」


「ウイルス……?」