こちらに向けられた、角ばった広い背中をマジマジと見た。


――これが絵恋さんの欲しがる背中なのか。憎たらしいといえば、憎たらしい。


硬めの垢すりタオルに、ボディーソープをワンプッシュした。


「いくぞ、秋雄! てい! 天誅! 天誅!」


「いてて……お前の垢すりタオル、もしかして硬めを使っている? 俺さ、ナイーブな肌してるんだから――いてててっ!」


――天誅! 去れよ、悪しき心! 凶、厄年、大殺界、いざさらば!


「悪かったよ、もういいや……たく、なんだよ。優しくしろよな」


――お前は、いつだって分かっていない。俺はこんなに優しいのに。