不思議そうな顔で首を傾げた秋雄は、それ以上なにも言わなかった。


内側に一旦戻り、更衣室の方へ戻ると右側に新たな暖簾が現れる。男湯だ。


「信介、綱吉の湯というのもあるんだ。知ってる?」


「綱吉? お犬様の?」


「そうそう、犬が入る専用温泉だってさ。面白いよな? 犬のリハビリにも良いんだってさ」


「ふぅーん」


――俺の腹をリハビリしてくれる湯があればいいのに……。


「ぼーっと突っ立ってないで、ロッカーに浴衣を入れろ。行くぞ」


「あ、ちょっと待ってくれよ」