なんだか苦しくなって、胸が締め付けられる。絵恋さんとの仲は羨ましいが、あの二人の幸せをきっと壊してはいけないんだ……。


切ない恋心と身内への依存、複雑だった。


「信介、水着の柄は一つしかないんだってさ。紺色のこれでいいだろう? 5Lキングサイズを買っておいたからな。それと……浴衣を選べよ」


「信介さん、見てください! 私はこのピンク色の浴衣にしたんです。信介さんにはこれが似合いそう!」


場内では浴衣姿が条件。絵恋が指した浴衣を見た。赤く波のような模様が描かれた浴衣だった。所々に金色の刺繍が入っている、お洒落な物だ。


秋雄が抱えている浴衣を見ると、緑みの暗い灰黄緑の色を選んでいた。


――ふんっ。江戸時代では、その色が流行っていたかもしれないが、俺には暗い色はご法度! よし、赤でいくぞ!


「絵恋さんの選んでくれた、その赤い浴衣でお願いします」