――こっ、この野郎!


駐車場にスリップをきかせ、急停車する。タイヤがキュルキュルと音を立てた。


「絶対にお前の水着を奪ってやるからな!」


ハンドルをギュッと握り締めた。なんでこんなやつを、俺は守らなくてはならないんだ!


「危ないな信介! 窓にぶつかるだろう! 絵恋大丈夫か?」


「だ、大丈夫……もう二人とも喧嘩しないで。信介さん、水着じゃないと入れないんだ。言っておけば良かったね。

あ、でもフロントに売ってるから大丈夫ですよ。今日の車のお礼に私がプレゼントします! 機嫌を直してくださいね!」


――な、なんて絵恋さんは、できた女性なんだ……秋雄には勿体無さ過ぎる!