「信介さん、人間は人柄の問題ですよ。秋雄さんの言うことは、あまり気にしないで下さいね!」


「痛っ!」


バックミラー越しにチラチラと覗き込む。絵恋は秋雄の手の甲を抓っていた。


――ざまみろ。少しは自らに近づく、忍び寄る影にでも気付けっつーの。


「絵恋さん、ありがとう。窓の外を見てください。あの建物ですよね? 本当だ、江戸情緒が溢れていますね」


「もう見えてきた? どれどれ……きゃあ! いい感じ!

私、水着も持ってきたんです。合戦の湯という、いくつかの混浴もありますんで一緒に入りましょうね!」


――み、水着! なんだその鼻血が出そうな状況は!