日陰の狭い道に入ると、少しだけ風通しも良く、先程よりは、いくらかマシになった。


この前は迷子になったけど、今度は大丈夫。目印は、カラフルな扇風機が並ぶ、電気屋の前さ。


あんなに高い買い物をしたんだ。使えないじゃ、洒落にならないからな。きっちり文句を言ってやらないと!


事と次第によっちゃ、あのド派手なピンクの扇を叩き折ってやるわ!


思い出したら、収まらない怒りが蘇ってきた。


――絵恋の、絵恋さんの……あの声が聞こえたのにぃ!


店の入り口に立ち、悔しさのあまり大きな声で呼びかけた。


「こ、孔明さん! あ、あのう、居ますか!」


反応無しか?