舞台上からチラチラと、何度も眼が合ったような気がした。


――困るなぁ。苺がいなくなったら、すぐに色目かぁ~? 俺には絵恋さんもいるし……でも答えないと悪いよな。


思い切って手を振ってみた。ちゃんと分かっているよ! の意味を込める。


だが2曲目に入り、全然こちらを見なくなり、左、右と顔を向け、ゆったりしたダンスを繰り返していた。


なんだよ、気のせいだったのかな。じゃあいいや、もう行こうっと。俺、ファンじゃないし。


踵を返したが、背中に再度、鋭い視線を感じる。


ふと、立ち止まったが、気のせいだと思い直し、裏道の小道へと急いだ。