冷たいものが左手に触れて、驚きのあまり、私はバランスを崩した。


プチッ


「「あ」」


ひらりと赤い紙テープが舞う。



せっかく切れないように手まで繋いでくれてたのに。

私が最後に油断しちゃったから。

出口はもう見えてるのに。


「大丈夫?外、出ようか」


私は和希くんに手を引かれたまま、蒸し暑い外へと足を踏み出した。


「はい、人間界におかえりなさーい。あーテープ切れちゃったみたいだね。残念!また来てね!」


陽気なお兄さんの声も私には上手く届かない。



たかが紙テープ……だけど、初めて和希くんとできた繋がりのように思えたのに。