「冷夏ね……」


その言葉に、俺は冷夏を抱きしめる腕に力を入れ、自分の涙を拭った。


「うん」



「……冷夏は、翔くんが思ってるほど純粋な女じゃない」


車の中で流れていた音楽が上手く途切れ、冷夏の言葉だけが響いた。


「………」


「翔くんが思ってるほどの女じゃないんだよ!!」



泣きながら話す冷夏に俺は暫くたってから口を開いた。


「だから?だから何?俺が好きなのは冷夏だよ?紛れも無く目の前にいる冷夏……」


「違うの……」


「何がだよ!!俺が愛してるるのは目の前にいる冷夏なんだよ!!」


「ダメだよ……冷夏じゃダメなんだよ」


「意味がわからねぇ、ちゃんと話してくれなきゃわからねぇーよ!!」



「…………」



その言葉に冷夏は俺から離れて車から降りて行った。