「今日は本当に楽しかったな……」


俺の視線に気付いた冷夏はにこっと笑い、そして寂しそうな顔して運転席にいる俺に抱き着いた。


数時間前と同じ場所にいるのに冷夏の表情はこんなにも違う……。


「冷夏?」


少しだけ冷夏の肩が震えているのに気が付き、体を起こした。


「どうしたんだよ」


静かに冷夏の頬を流れる涙をただ見つめ言葉を失った俺がいた。


ここで何かを問いただしてしまったら冷夏を離す事が恐くなりそうで、ただ見つめてる事しかできなかった。


「翔くん?」


「んっ……?」



今にも消えてしまいそうな冷夏の声と同時にあの悲しい曲が流れ始めた。