なんとも言えない嫌な雰囲気が俺の部屋の中を埋め尽くした。


冷夏は小さくなって座り、下を向いていた。


そんな冷夏の背中を俺は見つめて深くついたため息だけが響き渡り、長い沈黙が流れた。





なんでだろう……

どうして、こうなってしまうんだろう。




素直になれない自分に苛立ちを感じながらも、冷夏に拒否された事で俺の中は、とてつもない感情が溢れてきていた。



俺に抱かれなくても、冷夏は旦那に……。


考えるだけで、心臓を鷲掴みにされたようになり息苦しくなった俺は後から冷夏を抱き締めていた。



「冷夏、ごめん」


「ううん、嫌だった訳じゃないんだよ??」


「分かってる」



こうしていられる事で、不安なんか飛んでしまうのに、冷夏の体温を感じるだけで、俺は幸せなのに

だけど、それ以上の幸せを望んでいる俺がいる。



そして、その気持ちをもう押し殺そうとも思わなくなってきていた。



「愛してるよ、翔くん……」



「俺も、もう離れたくない……」




そう、求めてしまうんだ。



気持ちがある限り、人として生きている限り……。


きっと俺は何度でもどんなことでも、冷夏の全てを求めてしまうんだ。