その後、暫くしてから


また冷夏は指名の他の席へと移動した。



そう……



俺は冷夏と初めて出逢った時を思い出し、



あの時と同じ気持ちになっていた。



1か月ちょっと経つはずなのに、なぜだか俺の心は初めて冷夏に一目ぼれした時の気持ちと、



何も変わっていなかった。



冷夏が俺の傍からいなくなって俺は次に冷夏が着く席を気にしていた。



「おい、さと!飲みがたりねぇ~ぞ!!」



「うるっせぇ~なぁ」



そう言いながら、中西にもグラスを渡し、2人で一瞬にしてグラスを開けた。



「何処にいたって、お前の冷夏チャンだろ?」


「えっ?」




そう、



気づいていなかった。



あの時と違うものがちゃんとあった事に……。




冷夏の気持ちが今は、




ちゃんと俺の所にあるって事に……。



あの時と変わっているものが、



ある事に……。