「ご指名の方はありますか?」



横を向くと、中西が口と閉ざし俺とボーイの目がバッチリあった。



「れ、れいかチャンで……」



俺はバカか……。



本当に何をしてるんだ。



何ともいえない感情が湧いてきて、その横で中西が爆笑している。




「分かりました、少々お待ち下さい。」



目の前に作られた、酒を一気飲みし、また冷夏の方に目がいった。




「お前、マジうっぜ~」



「何がだよ?」



「やりずらいだろ?仕事中だろ??」




中西の言葉も理解しようとしているはずなのに、



心が着いていかない。




冷夏が他の客に見せる笑顔が、許せなくて



嫉妬で狂いそうで、



何処に視線を紛らわしても、



冷夏とダブリ気がおかしくなりそうで……。




もしかしたら俺は1番辛い現実を見に自ら足を踏み入れたかと思うと情けなくてしょうがなかった。




「よし!!今日は飲んだくれてやる!!」




その時、冷夏が一瞬だけ俺の方を見て、不安そうな顔を見せた。




気づいたら、俺と中西の間に女の子が1人着いていて



中西は楽しそうに話しに夢中だった。




「悪いけど、酒作ってくれる?」



「あっ、ごめんなさい」



「酒だけ作ってくれればいいから」



「お前はほんと…っ」




何かを言いかけようとした中西をおもいっきり睨んだ。