「あ、そういえばね、」 「どうかした?」 「こっちに帰ってきたらしいよ、あいつ」 「……あいつって?」 「ほら、小学生のときに転校していった……あ、そうそう、“きりの”!」 ―――きりの、くん? 「あ、ぅわっ!」 どきんと心臓が不思議な音を立てて、思わずケータイを落としかけた。 慌ててキャッチして耳に当てると麻美がくすくすと笑っていた。