みーん、みーん、みーん。 …蝉の音が煩くて耳を塞ぎたくなった。 足を止めて空を仰げば、期待を裏切らない青い空に白い雲。 目が痛くなるような鮮やかなコントラストに、くらり、眩暈。 「………あっつ、」 首筋を伝う汗が鬱陶しくて、ハンカチで乱暴に拭った。 スカートが足に纏わりつく。 みーん、みーん、みーん。 蝉の音が嫌いだ。 バカみたいに煩いからだけじゃない。 …あの夏を、思い出すから。