「反省してるんだ」
「反省?」
「これな、たまたま見つけたんだ。だが、直ぐに動けなかった。ここは馬場先生のクラス。ここは彼のテリトリー。そんなことを考えてしまってな。……結果、お前が苦しんでいるのを助けてやれなかった。机のコレを消すことぐらいしかな。スマンな……」
十分だった。
今までの琢磨に対する事は、全部、僕の勘違いだったんだろう。
僕は琢磨に悪い意味で注視されていると思っていた。
『声』の存在に気づいている人間なんだと。
だが、それは違った。
琢磨は僕の事を気に掛け、僕の事を心配して見ていてくれた。
なのに、僕はそれを、監視されていると思い込んでいた。