怒るなよ。 我慢しろよ。 今、教室を出て行くなよ。 最悪なのは、しおりを今、ここで捨てることだぞ。 捨てるなよ。 我慢しろよ。 坂木は立ち上がる。 僕の顔を、物凄い形相で睨んだかと思うと、教室の後ろの出口にあるゴミ箱に向かった。 そのゴミ箱に、しおりを雑巾の用に絞って丸め、叩きつけるようにして投げ込む。 そして、引き戸を、物凄い勢いで閉め、教室を出て行った。