「や、やめて……ください……」
「ふ〜ん……じゃあ、よく聞け。お前たちが報復したとする。だけど、僕は死にはしない。傷が治れば、何度でもお前だけ狙う。いいか。トイレの度に気をつけろ」
「…………」
答えない高畑に、僕はトイレの隣の掃除用具入れからモップを取り出す。
そして、その柄の方を高畑の目に当てる。
「避けないと失明だな」
次の瞬間、モップを突き出す。
肉の感触を期待したが、そこに高畑の目はなかった。
乾いた音を立てて、モップが向こう側の壁に当たる。
すんでの所で避けたのだろう。
「わ、わかりました……」
「いいか。僕へのいじめには、このまま参加していい……」
僕は高畑に必要なことを言うと、トイレを後にした。
渡り廊下を吹く風に当たるたびに、意識は次第にクリアになった。