僕は高畑の顔を一瞬で確認する。
ベルトを片手で気にしながら、片手でドアを押し開けている高畑は、僕に気づいていない。
僕は思い切り高畑を蹴り飛ばした。
ゴキンという嫌な音がした。
うめき声が聞こえ、支えを失ったドアが閉まる。
僕はそのドアをゆっくりと開けた。
「なあ。痛いだろ?」
和式トイレの向こう側に腰を押さえてうずくまる高畑がいる。
顔は真っ青になり、にきびの残る額には、脂汗が浮かんでいる。
「痛いよな」
高畑は信じられないという顔で僕を見ている。
だが、すぐにその表情は苦悶へと変わった。
「なあ、答えろよ。痛いかって聞いてんの」
「お、お前……」
「あ? お前って何?」