「ちょっ! ちょっと待って!」


後ろから聞きなれた声がする。

中学生になってからは、もうあまり話すこともなくなっていたのだが、僕にとっては忘れてはならない存在の声だ。


「ねえ! サトちゃん! 待ってよ!」

「サトちゃん、言うな……」


僕に追いつく制服姿の女の子。

名前はみどり。

家が隣同士の幼馴染……というわけではなく、父親同士が同じ会社で非常に仲が良く、家族ぐるみのつきあいを、僕らが幼稚園に上がる前からしていた。

まあ、それも幼馴染と言うのかもしれない。