岩に座って、青年を待った。 晩夏の夜は、まだ寒くはならない。 風の音にいちいち顔を上げ、下の道に提灯の灯を探した。 なめないで取って置いたあめ玉を、ひとつ、口に入れた。 もうひとつ、口に入れた。 最後のひとつを、口に入れた。 青年は来なかった。 不思議なことに、花火もいつまでたっても上がらなかった。