気が付くと、辺りはもう真っ暗だった。 空は雲に覆われていて、月も星も見えないから何時か分からない。 飛び起きて外へ走り出た。 花火はまだ始まっていないようだが、青年を待たせてしまったかもしれない。 夜目がきくから、闇夜の裏山を登るのは苦にならない。 息せききって上まで登ったが。 「あれ……」 青年はいなかった。